読書の秋、本に親しもう

【「読書の秋」の由来とは】

 秋らしい気候になり、最近は外を散歩するのも気持ち良くなってきました。「スポーツの秋」、「芸術の秋」、「食欲の秋」など、この時期の過ごしやすい気候は感性が高められるとともに、様々な活動にも適しています。「読書の秋」でもありますので、10月の月例の会議では、社員の皆さんに対して読書の大切さ、面白さを私から改めて伝えました。

 この「読書の秋」という言葉の由来について調べてみました。8世紀、中国の唐時代の有名な詩人である韓愈(かんゆ)が書いた詩の中に、学問の大切さを詠んだものがあり、その中に「燈火(とうか)親しむべし」という一節があります。その意味は「秋になると涼しさが気持ち良く感じられ、夜は明かりを灯して読書をするのに最適だ」ということです。この詩を夏目漱石が1908年に発表した小説「三四郎」の中で引用したことがきっかけで、日本で「読書の秋」が広まったとされています。

 また 、秋は気温が脳の活動に最適な温度になるため、読書や勉強に没頭しやすい時期とも言われています。日頃はなかなか忙しくて本を読んでいないという方も、この気候の良い時期を活用して、少しでも本に親しむ時間を作ってもらいたいと思います。

【読書から得られる気づきと学び】

 私も小さい頃から今まで、多くの本を読んできました。ビジネス書だけではなく、歴史小説やノンフィクションなど、気になった本はすぐに買って読むようにしていますので、社長室の書棚には本が溢れてきています。

 今でも忘れられない感動的な話や偉人の生き方などに触れることで、それまでの自分の価値観が大きく変わるような貴重な学びを得ることもありました。それらは、仕事をする中でも新しい事業のヒントになったり、ピンチを脱する助けになったりしています。また、周囲の人と会話をするときにも話題が豊かになり、それによって新たな人脈ができたり、信頼を得たりすることで、目に見えない財産形成にもつながっています。

 さらに、新しい本を読むということは、新しい知識が入ってくることにもなります。自分が知らなかった世界に触れることで「無知の知」、すなわち自分が無知であることを思い知らされることになり、事業が順調に進んでいる時でも謙虚さを忘れずにいることができます。

 そういうわけで、社員の皆さんには日頃から、月に1冊は本を読みましょうと言っています。どんな本を読んだらよいか迷ったら、私が毎月推薦している本の中から選んでみてください。この中には絵本も毎月入れていますので、読書に苦手意識がある人は、絵本からでも読み始めればよいと思います。最近は、大人が読んでも感動するようなレベルの高い絵本が多く出版されていて、絵の色使いや構図を眺めているだけでセンスが磨かれるようなものもあります。子どものいる家庭では、ぜひお子さんも一緒に読むようにしてください。

 私は本が大好きであることを、社内外の人によく話しているおかげで、社員から良い本を勧められたり、著者の方から本が贈られたりすることも多くなってきました。まだまだ読みたい本はたくさんありますので、秋の気候のよい間に少しでも多くの書物に触れ、また特に良い本については皆さんに紹介していきたいと思います。皆さんも素晴らしい本に出会った時には、私に紹介してくれると嬉しく思います。

ウチヤマグループ代表 内山文治