企業に求められる社会的な使命とは

【東証一部上場7周年】

 2021年9月11日で、ウチヤマホールディングスは東証一部に上場して7周年を迎えました。日本には約420万社の企業があるといわれています。そのうち、東証一部上場企業は2188社(2021年9月15日現在)で、日本全体の企業数の0.05%にあたります。北九州市に本社を置く一部上場企業は当社を含め8社しかありません。

 東証一部の上場には厳しい審査基準が設けられており、その厳格な要件を満たした企業のみが上場を果たすことができます。50年前に私が内山ビル㈱を設立して創業した時は、日本一の不動産事業者になることを目指していましたが、このような形で成長を続けることができるとは思ってもみませんでした。時代が移り変わる中で、様々な困難や倒産の危機にも遭遇しましたが、夢をあきらめることなく「やればできる」という強い信念を持って努力を続ければ、どんなことでも実現できるという大きな自信をつけることができました。この50年間、私の思いに共感してついてきてくれた仲間や、苦しい時も変わらずに支えてくださった取引先など、全ての方々に改めて感謝しています。

 私たち企業は、社会の中で経済的な価値を生み出していく存在です。その存在価値が社会に認められてはじめて「富」に代わります。企業の使命は、社会の発展の担い手かつ原動力として人のためにサービス・商品を提供し、社会や国家を経済的および精神的繁栄に導くことにあります。だからこそ売上を上げ、利益を税金等で社会に還元することで貢献することが求められます。昨年からコロナ禍に入って今までのやり方が通用しなくなり、カラオケや飲食、ホテルなどの部門においては厳しい状況が続いています。今こそグループ全社員が一丸となって知恵を絞り、状況を好転させるための施策を考え、実践していきましょう。

【ギブ・アンド・ギブの神髄とは】

 先日は嬉しいことがありました。8月の暑い日、本社近くにある北九州メディアドーム周辺を散歩して休憩のために座っていると、通りかかった中年の女性が私の横に座りました。そして、マスク越しでも笑顔とわかる表情で「暑いですよね」と言ってうちわを渡してくれました。ちょっとしたことですが、私の「暑い」という気持ちに寄り添って声を掛けてくれたその気遣いにたいへん感激しました。

 本社でもそういう場面がよくあります。特に人事部の下村さんは、私が横を通りかかるといつも優しく声を掛けてくれます。話の内容はその日の天気や服装などありきたりなものですが、やはり声を掛けてくれると嬉しいものです。何かに期待するわけではなく、純粋に私のことを思って話しかけてくれていると感じられます。

 私がかつて船井幸雄先生に教わった「ギブ・アンド・ギブ」とは、まさにこのようなことを言うのだと思います。私が好きなマザーテレサの言葉に「大切なのは、どれだけたくさんのことをしたかではなく、どれだけ心を込めたかです」という一節があります。相手のことをどれだけ考え、行動に移せるかというのが大切であり、その無償の思いが強ければ強いほど、相手にも気持ちが伝わるのではないでしょうか。

 猛威を振るっている新型コロナウイルスも、いずれ必ず落ち着く日が来ます。今は多くの人も企業も、様々な我慢の中で生活をしています。多くの方が経済的な不安を抱える中、日本経済をけん引して立て直していくのも上場企業の使命です。私たちは常に社会のお役に立てることを考え、実践し、必要とされる存在を目指していかなければなりません。ウチヤマグループの理念である「慈愛の心」「尊厳を守る」「お客様第一主義」を胸に、社員一人ひとりが自分の仕事に熱意と誇りを持って、これからも仕事に取り組んでほしいと思います。