学びと経験が人生を輝かせる

【ガンジーの言葉より】

 私はいつも「生涯勉強!」「無知を知る努力をしよう!」と皆さんに話しています。学ぶことは、自分の「無知を知る」ということに繋がります。私たちの一生は、いつどこで終わるか分かりません。だからこそ、いつ人生の終わりを迎えても後悔が残らないように一日一日を過ごすことが大切です。

 非暴力・不服従を唱えて権力に立ち向かい、インドを独立に導いたガンジーの名言の一つに「明日死ぬかのように生きよ、永遠に生きるつもりで学べ」という言葉があります。人間の一生は長くても100年前後です。この世界のすべてを知り尽くすには、とても時間が足りませんが、だからといって漫然と過ごしていては、あっという間に年を取ってしまいます。充実した人生を生きるには、何事にも興味を抱き、謙虚さを持って学ぶ姿勢が大切です。前向きに自ら学びながら実践することを続けていれば、その情熱は自然と周りの人たちをも巻き込み、自分が思ってもみなかった事業の成果や人とのご縁を得られる機会が増えることになります。

 また、ガンジーは「速度を上げるばかりが人生ではない」とも言っています。結果を急いで形づくることだけ考えていると、本来の目的を見失ってしまうことがあります。仕事に限らず家庭生活においても、私たちは日々、大小様々な目標を掲げて過ごしています。その一つひとつの目標を「何のために」達成させるのかを常に心の中で意識すると、スピードだけでなくその過程にもこだわって、意味のある時間の過ごし方ができるようになります。

 現在は、新型コロナウイルスの影響で思うように行動することができません。こんな時だからこそ、目先の利益や欲に惑わされるのではなく、アフターコロナや今後の成長に向けた新たな目標や計画をしっかりと立て、学びながら実行していきましょう。

【経験は心の中で生き続ける】

 「経験」するということは、「モノ」をもらったり買ったりする以上に幸せの効果が大きいと言われています。「モノ」で得られる喜びは、時間とともに消えていき、また新たな「モノ」が欲しくてたまらなくなります。しかし、「経験」で得られる喜びは、その出来事と心の感情が交じり合って、何ものにも変えることのできない記憶として残り続けます。

 行動すること、特に今までやったことのない新しいことに挑戦するのはリスクが伴います。行動しなければ失敗はありません。しかし、勇気を出して行動すれば、それが失敗であっても「経験」を積むことができ、その経験は次の挑戦に活かすための財産となります。

 「モノ」と「経験」では、どちらの方が幸せの効果が大きいかを暗示する興味深い話があります。1978年に、数名の研究者が「宝くじの高額当選者たち」の幸福度について調査しました。その結果、高額当選を果たした数か月後には、当選者たちの幸福度はすでにそれ以前とあまり変わらなくなっていたそうです。お金によって与えられる喜びというのは、案外長続きしないということです。

 「モノ」で得られる喜びは時間とともに消えていきますが、「経験」が与えてくれる幸せの効果は、私たちの心の中にずっと残り続けます。家族や友人との楽しい旅行もそうですし、仲間と一緒に困難な課題に挑戦したプロジェクトなども、その時だけの想いにとどまらず、その後もずっと人生の中の貴重な経験として、私たちに長く幸福感を与えてくれます。当社では現在、グループ50年史の制作を行っています。社員から寄せられたコメントの中では、複数の社員が東証一部へ上場できた経験を自分自身の誇りとして語ってくれており、それを聞いた私も上場を達成したことへの意義を改めて感じました。

 これからも日々の仕事の中でそれぞれの目標を掲げ、人生のプラスとなる学びをもとに様々な経験を積むことで、充実した人生を自らの手で切り拓いていきましょう。

ウチヤマグループ会長 内山文治