初恋から人生のパートナーに

ライフマップで生きがい発見!! story30
さわやかひめじ館(兵庫県姫路市)

 常見清子様は、夫の至様と2人暮らしを送っておられましたが、2020年5月に至様が脳梗塞を発症されて左上下肢麻痺になり、常時介助を要するようになりました。清子様自身もリウマチを患っておられたため、今後は在宅にて2人暮らしを継続することが困難と息子様が判断され、清子様が2020年12月18日に入居され、至様は退院後の12月22日に入居されました。

 2022年3月に至様が入院されたり、清子様も入院されたり、新型コロナウイルス感染症にてひめじ館はクラスターになったりと、普段の生活が変わってしまたことから、現時点の清子様の今後の目標を知るためにライフマップを活用させていただきました。清子様はとても社交的な方で、入居当初から職員や他の利用者様との交流を図るのがとても得意で、日頃から皆様と和気あいあいと過ごされています。この度ライフマップの作成に協力していただいた時も、話が絶えないほどお話してくださり、清子様の人生の歴史を詳しく知ることができました。

清子様のライフマップ

 清子様は、ペルー生まれ香川県育ちの8人きょうだいの末っ子だそうです。お母様から洋裁を身に付けるように言われ、 学生の頃は洋裁の学校に通われていました。『学校から帰宅しても、個別指導として先生が自宅まで来て指導してもらったおかげで洋裁ができるようになり、母にはすごく感謝している』とのこと。一方でお父様はとても厳しく、農家の手伝いを強要されていたことを苦笑しながら話しておられました。卒業後は洋裁のお仕事をされていましたが、転職して食品を売る商売をするようになり、人と話すことが好きになったのはこの頃からだとお話されていました。

 22歳の時に旦那様である至様と出会い、一目ぼれにて恋に落ちたとその頃のお話を今日あったことのように目を輝かせながらお話される姿は少女のようでした。

 24歳の時に至様と結婚され、西宮市へ転居して間もなく長女・長男が生まれました。やがて育児も落ち着き、その頃の趣味は至様と全国各地へ旅行に行き、旅先では必ず温泉に入ることが楽しみだったそうです。現在も、神社や風景の写真などの切り抜きを集めるのが楽しいと話しておられます。

 清子様は身体を動かすことを常に大切に気をつけており『長生きしたい』と話しながら毎日自主的に体操をされています。また、その様子を見ていた他の利用者様が『私も一緒にするわ』と並んで体操をしている姿も見られ、『身体を動かして元気になって一緒に温泉行きたいね。一緒に行けるように頑張ろう』と、何気ない会話の中にも確かな目標を感じられました。

 身体を動かして元気で居続けようと努力されている理由はもう一つあります。それは、至様のお世話を最後までしたいという願いです。清子様は普段から至様のことを常に一番に考えておられ『お父さんと一緒に居たいの」と現在も仲良く過ごしておられます。至様の洗濯物の管理や、入浴準備・服のほつれなどの洋裁を欠かさずされており、今は至様のお世話が生きがいだとお話しされていました。

 これからも、清子様の生きがいや目標である大好きな至様と一緒に過ごせるように、そして健康を維持するための体操に毎日取り組めるように、私たち職員もお手伝いさせていただきたいと思います。

(さわやかひめじ館 副施設長・中村 世奈)