交流のきっかけはライフマップから

ライフマップで生きがい発見!! story9
さわやかレークサイド中の原/福岡県北九州市】

 75歳の竹中様は、退院後そのまま入居となった為、自由に動くことができる竹中様にとって納得のいかない入居であったと思います。その不満を埋める為、当初は「館内での楽しみが持てるように援助させて頂く」というケアプランにしていましたが、束縛を嫌い、頑固で人見知り、人を寄せ付けない気性の荒さから、他者とのコミュニケーションをとる以前にスタッフとの関りも難しい状況でした。

 そこで、入居後早々にライフマップを使ってお話の時間を頂きました。最初は調査のように感じられたようで、怪訝な様子でスタートしましたが、幼い頃の話を伺ううちに笑顔を見せてくださるようになりました。入居されて初めての笑顔でした。

 人を寄せ付けないことについて「友達がいればいいな」と思う反面、カッとなる自分の性格で人を傷つけることが怖いという胸の内を明かしてくださいました。「だから人と関るより散歩の方がいい」と言われ、自ら人との交流を絶っているようでした。また、入院前は身内の豆腐屋を手伝っており、「本当は手伝ってやりたい」「その方が自分が元気になる」という働きたい気持ちを知りました。

竹中様のライフマップ

 ライフマップで選んだカードの中に「園芸」があったので、人と関わることは遠い目標として、まずは施設内で小さな楽しみを持っていただこうと、お孫さんへあげる為のプチトマト作りを開始しました。普段はレクリエーションに参加されない竹中様も、トマトの成長だけは楽しみにされており、園芸コーナーの水やりも私に代わって行ってくださるようになりました。水やりが終わり、事務所のスタッフ皆で「ありがとうございます」と声をかけると、本当に嬉しそうに照れながらフロアに戻られます。

 施設の園芸コーナーでは、定期的に入居者様が手入れにいらっしゃいます。その様子を見て、この中に竹中様が入れるのではないかと感じ、竹中様に水やりのお願いをしてみました。最初は他の入居者様と目を合わせることなく作業をされていましたが、周りの方が「おいちゃんが水をあげてくれてたんやね。ありがとう」「おいちゃーん。私のにもお願い」と声をかけられ、小さな交流が生まれました。その光景はいつもの風景になり、遠い目標だった「人との交流」をこんなに早く見ることができました。

 竹中様が育てたプチトマトですが、なんとお孫さんは「トマトが苦手」というミスがありました(笑)が、それもご愛嬌です。今まではご家族様が不安になるような報告しかできませんでしたが、嬉しい報告ばかりができるようになり、一緒に楽しんでくださる姿も微笑ましい時間となりました。

 また、フロアでの生活においても、スタッフが入居者様の中で行う風船バレーのサポートを、竹中様が行ってくださっています。一度急性心筋梗塞を起こして救急搬送になった際には、夜勤者に異常を訴えてこられましたが、「関さんは友達だから」とスタッフに何でも言いやすい関係であったことで早期対応が行えたことを後で知りました。

 昨年12月にケアプランの見直しがあり、調子に乗った私は今まで参加していない活力朝礼への参加を試みるケアプランを作成しました。結果は毎日参加してくださり、入居者様の誘導のお手伝いの他、朝礼後のデイサービス開始準備のセッティングにも、スタッフの一員として活躍してくださっています。デイサービスのセッティングにはこれまで3名のスタッフが必要でしたが、竹中様を含めた2名の入居者様とスタッフ1名で賄えるようになり、誘導の人員を増やすことができたので、他の入居者様の転倒予防にも一役買っています。

 今では皆に頼られ、愛されている竹中様。これからもライフマップを活用して、竹中様のように必要とされ、生きがいを感じられる方が増えるよう、入居者様が活躍できる施設作りに取り組んでいきたいと思います。

(小林さおり)

※写真・文章は、入居者様ご本人およびご家族様の許可を得て掲載しています。