産んでくれて 育ててくれて ありがとう ~2020年11月

さわやか桜弐番館(秋田県秋田市)
加藤 卓雄 さん

 私は両親の最初の子供(長男)として、この世に生を受けました。私以外に子供がいないので、世間で言う「一人っ子」です。幼い頃、同級生と比較すると背が小さかった私は、すぐに転ぶので膝はいつも傷だらけでした。人見知りな性格で、親の後ろから周囲の人を見ているような子供でした。

 私の実家は、あるお店を営んでいましたが、経営は厳しかったようでした。経済状況が厳しい中で、秋田・仙台と学生時代を何不自由なく過ごさせてもらったことに感謝しています。

 私は今年で59歳になりました。子供が二人いますが、子供たちが小さい頃たまに実家へ帰ると、廊下の端から端を走る孫たちを見て目を細める両親の姿を思い出します。子供たちも祖父・祖母のことが大好きで「今度いつ行くの?」と聞いていたことを記憶しています。

 その後、上の子が結婚することになりました。その時既に母は他界していましたが、子供の中にも私の心の中にも、母に対して「産んでくれてありがとう」の言葉がありました。そして、私たち家族がこの世の中で生を受けて社会生活が出来ているのは、祖先である私の親のおかげだと改めて思い、感謝しています。

 父は存命ですが、介護が必要な状況です。母に何もできなかった分も含めて、少しでも父の介助が出来ればと思い、介護の仕事をしています。介護の世界は奥が深く、先輩のアドバイスを受けながら入居者様と向き合って日々仕事をしています。近い将来、私も、子供たちから「産んでくれて、育ててくれて、ありがとう」と言ってもらえるような理想に近い生き方をしたいと思っています。