ライフマップで生きがい発見!! story15
さわやかいなざわ館
【愛知県稲沢市】
昭和8年7月10日生まれ、現在87歳の土居様は、これまで独居で生活されていましたが、ご家族様が遠方に住まわれており、お一人での生活が困難になってきたことから、2019年7月にさわやかいなざわ館に入居されました。
入居されて1年と少し。いつお会いしても素敵な笑顔でいらっしゃる土居様!これまでどんな生活を送ってこられたのか、ライフマップを通じて聞かせていただきました。
幼少のころは高知県で過ごし、国民小学校に通っておられましたが、当時の学生生活の話をされている土居様は少し暗い表情でした。当時は戦争の真っただ中だったこともあり、小学校は火事で全焼してしまったそうです。楽しい思い出はあるものの辛い思いが大きい為、残念な様子で語られていました。小・中・高校の頃は、とにかく人のお世話をすることが好きだったそうで、その当時の夢は児童相談所に勤めて非行少年のお世話がしたかったとか。
高知女子短期大学の保育課を卒業されたのちは、保育園にお勤めされました。保育士という仕事柄、物作りが得意だったそうで、身近にある物を利用して小物を作ったりと子どもたちからも人気があったようです。チャレンジ精神旺盛な土居様は、手芸、編み物、和裁の他に日曜大工にも興味をお持ちになり、自宅の左官もされたことがあるそうです。自分らしい仕事をとても誇らしそうに言われていました。保育士として5年間勤められたのち、28歳で結婚され一女を授かられました。
幼少時から人のお世話が好きなこともあり、施設でも他の入居者様を気にかけながら声をかけてくださっています。「お世話好きにはたまらないのよ」と楽しそうに話されている様子には満足感が感じ取れました。また手芸が得意なこともあり、おしぼり巻きやテーブル拭きなどのお手伝いを自発的に行われ、毎月のおやつレクリエーションや月毎の壁画制作などの活動も土居様が中心になって積極的に行われています。
今年の夏祭りに向けて、約3か月前から千羽鶴を入居者様5名で折り始めた時も、土居様が他の入居者様に教えながら制作が進められ、見事な飾りが出来上がりました。こうした毎日の活動が役割となり、生きる意欲と生きがいに繋がっているようです。職員が役割を見つけるのではなく、土居様自身ができることを自分から探されて自分の新しい先へ向かっているようでした。
土居様にこれからの目標をお尋ねすると「語学の勉強をしてみたい」と答えられました。また、ボランティアで来館する小学生の子供たちにも、いろいろな事を教えてあげたいとのことで、いくつになっても挑戦したい!という若々しいエネルギーを感じました。喜怒哀楽の表現も豊かで、自分らしさをとても大事にされている土居様。ライフマップによって見えてきたその意欲的な性格を日常の生活の中で少しでも生かせるよう、今後の支援方法を工夫していきたいと思います。
現在、新型コロナウイルスの感染予防対策で、面会制限や行事の縮小等がありますが、いなざわ館では様々なレクリエーションを企画し、入居者様の様子がご家族様に伝わるように日々の活動をブログで発信しています。土居様のご家族様も毎日ブログを見てくださり、コメントを頂いています。これからも土居様が毎日笑顔でいっぱいに生活していただけるよう支援を続けてまいります。
(鈴鹿豊 大羽奈穂美)
※写真・文章は、入居者様ご本人およびご家族様の許可を得て掲載しています。