ライフマップで生きがい発見!! story36
さわやかさの館(栃木県佐野市)
今回ご紹介させていただくのは、96歳の男性・U様です。
奥さまが60代でお亡くなりになってから一人暮らしをされてきましたが、2016年2月に言語障害を起こし、残された日々を快適に過ごしたいとの思いから、さわやかさの館に入居されました。
趣味が多く、入居後は童謡を歌う会、囲碁クラブ、グランドゴルフなどに参加して楽しまれていました。しかしコロナ禍で思うように行動できなくなり、最近は横になっていることが多くなって後ろ姿も元気がないようにお見受けしたので、「ライフマップ」を作成することにしました。
U様は佐野市生まれ、東京の大学卒業後は大手企業に就職し、九州、岐阜、浜松と転勤しながらお仕事を頑張ってこられました。日頃から本を読んだり書き物をしているので毎日が忙しいようで、「ボールペンも必要だけど、修正液はもっと必要、ないと困る、私の人生は間違いだらけ、間違うたびに修正する、これからも大間違いのないようにしたいものだ、必要とされれば生きていきたい」と話してくれました。
私はU様の話をお聞きして、改めて自分の人生についても考えさせられました。後悔先に立たずとは言いますが、「あの時こうしておけばよかった」と思うことだらけだったかなあ?これからは悔いのないように生きていこう、そして人から必要とされる人になっていたいと思いました。
そこで、U様が以前から書かれていた短歌や替え歌に、職員に絵を付けてもらい、その紙をホールに飾らせていただくことにしました。
他の入居者様からは好評で、コピーが欲しいと言われる方もいてU様の励みになり、「喜んでくれる人がいると考えることが楽しみ」と笑顔で仰っていました。現在は感染症拡大防止のための外出制限もなくなったので、好きな囲碁クラブへも参加できるようになり、いきいきと過ごされています。
普段から俳句などを楽しまれているU様から、施設に対する感謝の句もいただきました。
ここはどこ あの世に行く間の 仮りの宿
「最後は川の流れのように太平洋にたどり着くまで」と話されたU様。年齢を重ねるにつれて、失敗や物忘れは当たり前のこと、そのことも認めてありのままに受け入れることが大切だと教えていただきました。
私たちは入居者様たちのこれからの人生を担っています。人は年を重ねると役割や居場所が少なくなっていきますが、簡単なお願いごとをしたり、昔得意だったことをもう一度やっていただくことで、元気だったころに少しでも戻れるようにライフマップを活用していきたいです。 そして輝ける瞬間を目撃したら「すごいですね」「ありがとうございます」といった心から入居者様を認める言葉、称賛する言葉をかけていきたいと思います。
(計画作成担当者 小野かず子)