ライフマップで生きがい発見!! story37
さわやかながれやま館(千葉県流山市)
84歳男性のM様は、杖歩行にてご自宅からさわやかながれやま館にご入居されました。
同居している一人娘には「なんで施設に入るの?」と聞かれたそうですが、いくつもの病気を持っており、さらに老いていく自分の面倒を娘にかけたくないという思いから、ご自身で施設入居を決めたと話されました。奥様はM様が42歳の時にくも膜下出血で倒れました。当時は自分が家庭に目を向けずに仕事ばかりしていたせいだと、自分を責めたそうです。一人娘にも迷惑をかけたと話されていました。そうした経緯もあり、今度は自分のことで娘に迷惑をかけるわけにはいかないと強く思っているそうです。
明るくおおらかで情が厚く、心優しいM様の思いをさらに知るため、ライフマップを使用してお話の時間をいただきました。
若い頃は仕事で全国を飛び回っていたこと、病気の奥様を30年近く看病されていたこと、お酒が大好きなこと、柔道を続けてきたこと、たくさんの話をしていただきました。目標寿命は90歳。「死ぬまで自分の足で歩き続けたい」「高級なレストランでなくていい。近所のラーメン屋に娘と行きラーメンと餃子を食べたい。そこにビールがあれば最高だな」と話されました。その為には何ができるか、何がやりたいかを一緒に考えました。「俺は妻の世話をしてきたから掃除に洗濯、料理が得意だ」と話されました。そこで毎日の玄関掃除を毎日決まった時間に行うことを提案させていただきました。さっそく次の日から決めた時間の10分前には玄関に来られて掃除を行い、来客者様にも明るく挨拶をされて、元気に過ごされていました。
しかし、ご入居から1か月半がたち施設生活に慣れてきたころ、急性心不全にて病院へ救急搬送となってしまいました。
食べられない、動けない、歩行困難となりました。入院中に介護保険の更新も行われ、入院前は「要介護1」だった介護度が「要介護5」の寝たきり状態となりました。しかし、ご本人様には「必ず退院するのだ、また自分の足で歩くのだ、また大好きなお酒を飲むのだ」という気持ちが強く生じていたそうです。
食事、排泄、運動機能の状態が改善し、退院できる状態になるまでには2か月半かかりました。長期の入院によるADL低下と意識レベル低下があり、退院後は介護が必要な時間も増えていた状況の中、またM様と今後の目標についてライフマップを見ながら話をしました。「元の日常生活を取り戻したい」と言うM様とのお話の中で、食事は全部食べること、夜間よく眠れるよう日中に活動の時間を作ること、機能訓練を頑張ることを目標に掲げました。
退院して新たな目標を掲げてから半年がたちました。今日も「おい、元気か」と事務所に来られます。梅雨の晴れ間の青空の下、1歩、2歩と地面を踏みしめゆっくりと歩きます。日々の機能訓練の成果もあり、現在の介護度は「要介護2」まで回復されています。
「死ぬまで自分の足で歩き続ける。俺の願いを聞いてくれてありがとう」と照れくさそうに語るM様。「高級なレストランでなくていい。近所のラーメン屋に娘と行きラーメンと餃子を食べに行きたい。そこにビールがあれば最高だな。ケアマネさんも誘うよ」と笑顔で話されました。
(計画作成担当者 太田黒 典子)