友人との交流と編み物が心の潤滑油

ライフマップで生きがい発見!! story41
さわやか新居浜館(愛媛県新居浜市)

N様は以前、交通事故に遭われ、後遺症で常に腰痛があります。一人暮らしがとても不安ということで養護老人ホームに入所されていましたが、2022年12月には歩行が難しくなり、養護老人ホームでの生活も困難とのことで、介護付き有料老人ホームの「さわやか新居浜館」へ入居となりました。

入居当初は、食事の時間以外は居室にこもられていて、他の入居者様とあまりコミュニケーションを図れていませんでした。そして2023年2月に居室内で転倒され、入院することになってしまいました。約1か月後に退院の許可がおりた際、病院へN様の様子を見に伺いました。入院中のご様子を職員さんに聞くと、フロアで食事をされる時間以外は、ほとんど居室のベッドに寝たまま編み物をされていたとのことでした。

そして迎えた退院の日、病院へN様をお迎えに伺い、施設へ帰る車の中でゆっくりお話をさせていただきました。その時にN様は「編み物が大好き」と話されていましたので、帰館後にさっそくN様の「ライフマップ」を作成することにしました。

これまでの人生の振り返りを通じて、それまで聞くことがなかった過去の様々な経験を教えていただきました。「40歳過ぎてからスナックで働き、よく歌も歌ったわ」「交通事故の後は働けなくなったので、毎日デイサービスに行って夕飯まで食べよったんよ」など、N様が歩んでこられた人生の道のりを少しばかり感じることができました。

以前利用されていたデイサービスの友人から「ぜひ会いたい!」というハガキが届きました。

「面会は大丈夫ですよ」とお伝えすると、さっそくお二人のご友人が面会に来られました。N様も「会いたかった」と手を取り合い、とても喜ばれていました。また、病院の受診日には、駐車場の奥で「Nちゃん~」と声がしました。デイサービスで仲良しだった方が、病院の職員さんに聞いて会いに来られたとのことで、N様は涙を流しながら再会を喜んでおられました。

普段は人込みや賑やかな場所を嫌い、一人で静かに過ごすのが好きというN様ですが、ご友人との交流はやはり楽しそうな様子でしたので、その後はできるだけ他の入居者様とも関わりを持っていただけるよう、居室からなるべくフロアに出られることをお勧めしました。午前中はフロアの自席で趣味の編み物をして、午後からは居室で休まれていますが、以前より皆さんとのコミュニケーションが図れるようになってきました。編み物が完成したときは、机の上に広げて皆さんへ披露されています。ライフマップを通じてお聞きしたこと、いつまでも好きな編み物を楽しみながら、時には友人と近況報告しあい、穏やかな生活ができるように職員一同で支援を行ってまいります。

(計画作成担当者 神野 栄子)