ライフマップで生きがい発見!! story13
さわやかあびこ館
【千葉県我孫子市】
熊本出身のヤエ子様は現在90歳。さわやかあびこ館のオープンと同時に入居され、1年8ヶ月がすぎました。「私の部屋の窓から筑波山が見えるのよ。とてもいい眺め」とあびこ館をとても気に入られています。
今回は、ケアプラン作成に沿ってライフマップを使い、色々とお話をお聞きしました。
学生時代を熊本で過ごし、同じ熊本出身のご主人との結婚を機に東京へ。その後千葉県柏市へ移り、2人の娘さんに恵まれました。ところが、ヤエ子様が33歳の時にご主人が事故で亡くなり、その時娘さん達はまだ4歳と7歳。自分がしっかりしなくてはいけないと思ったそうです。それからは、生命保険のセールスレデイとして一生懸命働き、支部長として定年まで勤めあげたと話されました。「大変でしたね」と声をかけると「私はいつもプラス思考で行くと決めているの」と力強くお話されていました。
そんなヤエ子様はとても多才でいらっしゃいます。趣味を伺うと、コラース、社交ダンス、水彩画、手芸などたくさん出てきます。水彩画に関してはプロ級の腕前。入居の際はヤエ子様の描いた水彩画をいくつか寄贈していただき、施設内に飾っています。とてもやさしい風景画ばかりです。居室にもたくさんの絵が飾られています。
毎日の日課は、新聞を読むことと日記をつけること。娘様が用意してくれる「何でもノート」が今では4冊になっており、中を見せていただくと細かく日々のことが書いてあって、ヤエ子様の人柄が感じとれます。
日々の生活の中での楽しみをお聞きすると「毎日職員さんが考えてくれるレクリエーションが素晴らしい、食事がとても美味しい、手芸教室も作品が完成する達成感があるから好き、あっという間に1日が終わる」と前向きな言葉ばかり出てきました。そして「おかれたところで咲けばいい」という言葉をさらっと言われたのです。思わず私が「いい言葉ですね」と言うと「私は毎日自分がそこにいる意味を考えています。プラス思考でね」と言われ、90年生きてこられたヤエ子様の言葉がとても重く感じ、感動しました。そして、私が必死にメモをとる姿を見て「ずいぶん勉強熱心ね」と褒めてくださいました。
次に話してくださったのは、合唱コンクールの思い出でした。以前あびこ館で入居者様によるファッションショーを開催した際に、ヤエ子様が若い頃合唱コンクールに出場した時のドレスを着られていたことを思い出しました。
とても素敵な笑顔で「施設の皆さんと一緒に合唱ができたらいいわね」と話されました。あびこ館には歌が好きな入居者様や音楽好きな職員が多く、ギターサークルもあるくらいです。そこで「あびこ館の歌」を作詞・作曲した宮本リーダーが中心となり、活力朝礼の時に全員で「あびこ館の歌」を歌うことになりました。入居者様には難しい曲のようにも感じますが、ヤエ子様は早く曲を覚える為に他の入居者様と歌詞カードを見ながら練習し、交流を深めています。施設でイベントを行う時には皆で合唱を披露できるように練習を続けます。
これからも入居者様のケアプラン作成時にライフマップを活用しながら、その方の生きた言葉を拾っていきます。そして「あびこ館に来て良かった」と思っていただけるような支援ができるよう、職員全員で一致団結し頑張って参ります。
(松本 美貴子)
※写真・文章は、入居者様ご本人およびご家族様の許可を得て掲載しています。