得意の家事で本領発揮

ライフマップで生きがい発見!! story14
さわやかながれやま館
【千葉県流山市】

 昭和9年12月9日生まれ、現在85歳の安佐様。2020年2月に他施設からの引越しで、ながれやま館に来られました。山形県の雪深いところで産まれましたが、子供の頃に家族でブラジルに渡り、幼少期はブラジルで過ごされたそうです。ブラジルの公用語のポルトガル語も話せましたが、現在は忘れてしまったとのこと。ブラジルではフェジョンという家庭料理の定番で豆と色々な野菜を一緒に煮たお料理が大好きだったそうです。「よく作っていたのよ。とてもおいしいの。今度作ってあげるわ」と、笑顔で作り方から入れる野菜、味付けなど細かくお話をしてくださいました。日本に戻られてからは仙台にお住まいになり、大学まで進学。昭和39年に結婚し、一男一女を授かりました。

 ながれやま館に来られた時には笑顔もなく、元気のない様子で入居されました。「子供や夫の食事の支度をしないと・・・」と心配そうによくお話されていました。そこで、ライフマップを使ってこれまでの生活について聞き取りをしてみました。

安佐様のライフマップ

 ご自宅では専業主婦をされていて家事が得意だということがわかりました。「帰りたい」という思いが出た時には、コップ洗いやタオルたたみのお手伝いを行っていただきました。そうするうちに、ご自身の仕事が出来たことで満足感が生まれ、自発的に色々なことを行っていただけるようになりました。毎月施設で実施している喫茶レクリエーションでは、ホットケーキやポテトサラダ、サンドイッチ、焼きそば等、進んで料理をしてくださるようになり、美味しく出来上がると満面の笑みを見せてくださいます。「気持ちは60歳よ」と元気に日々のレクリエーション等に参加されています。

 ご家族様も安佐様の事をとても大切に思っておられ、ご主人様は「妻が自宅で植えた百合の花が咲きました」と施設に持ってきてくださいました。それを見た安佐様は「今年も咲いたのね。嬉しいわ」と笑顔がこぼれます。これからの目標を尋ねると「フェジョンを作って、みんなで食べたい。ビールも飲みたいわ」と答えてくださいました。安佐様にご指導いただきながら、皆様でフェジョンを作るレクリエーションも企画していきたいと思います。

 ながれやま館では色々なレクリエーションを企画し、入居者様のご様子がご家族様にも伝わるように日々の活動をブログで発信しています。現在は新型コロナウイルスの影響で、施設での面会自粛が続いておりますが、安佐様のご家族様も毎日ブログを見てくださり、たくさんのコメントを頂いています。「コロナが落ち着いたら、お父さんとデートですね」とお話しすると「そうだね。お父さんに会いたいわ」と照れながらニコニコと笑顔になる安佐様に寄り添いながら、これからも支援を続けてまいります。

(髙玉 香織)

※写真・文章は、入居者様ご本人およびご家族様の許可を得て掲載しています。