さわやか枚方館 (大阪府枚方市)
介護主任 森下 あゆみ さん
1980年6月9日、梅雨時期なのにキレイな晴天の16時頃、私は母と父の3人目の子として、この世に「こんにちは、はじめまして、これからよろしく♪」と挨拶しました。
私と母は出産後「感動の親子初対面!!」とはいかず、生まれてすぐ母に抱かれることもなく、出産後に対面を求める母に「黄疸が酷いので…」とわが子なのに会わせてもらえなかったそうです。母は私の前に姉・兄を出産していますから「この子は何かあるんだろう」と気付いていました。そして母は「自分の子がどういう状態で産まれて来ても私の大切な子には変わりありません。どうかあの子に会わせてください」と懇願し、私は生まれて5日後に初めて母に抱っこされました。小さくて優しく強い母から生まれてきた私は3,460gと大きく、今と同じように母のお腹の中でも落ち着きなく動いていたのでしょう。私は“内反足”という、左足が内側に強く反り返った状態で産まれてきたのです。
産院を退院後、母は私の足を治すため、姉と兄の育児真っ只中に、雨の日も風の日も整形外科へ私を連れて通院してくれました。私がギブスを装着しながら自分の足で立つことが出来たのは1歳9か月頃で、その時には家族みんなで「よかった!うれしい!!」と喜び、涙を流してくれたそうです。自分の足で歩けるようになったのは3歳の時でした。
私の名前はひらがなで“あゆみ”と書きます。このステキな名前をプレゼントしてくれたのは母です。「いつか自分の足で歩けるよう、出会う人を大切に想い想われ自分の人生を歩めるよう…」とたくさんの願いを込めて付けてくれた名前です。その母の想いを胸に私は今、介護主任として入居者様により良く、寄り添えるケアを提供させて頂いています。そして素晴らしい仲間たちとも出逢うことができ、とても幸せな人生を送っています。
母があの時に「治らないから…」と諦めていたら、今の私は居ないと思います。お父さん、お姉ちゃん、お兄ちゃん、私の大切な子どもたち、私と出逢ってくださった全ての人たち、たくさんの愛情・優しさ、時には痛みや辛さもありましたが私を成長させてくれてありがとう。たくさん「ありがとう」と思えて言える、そんな私の生き方を教えてくれたお母さん、産んでくれてありがとう。
そして私のおじいちゃん、おばあちゃん、母と父を産んで育ててくれてありがとう。