世界平和への思い

【77回目の終戦の日】

 毎年、8月のこの暑い時期になると、遠い日の戦争の記憶が蘇ります。日本では今年で77回目の終戦の日を迎えました。今でこそ長く続く平和の中で当たり前に生活をしている私たちですが、私が生まれた昭和16年当時は、世界は第二次世界大戦の真っただ中にあり、その年の12月から日本も太平洋戦争に突入しました。そして、私が4歳になった昭和20年の8月、広島と長崎に原子爆弾が落とされ、8月15日に昭和天皇がポツダム宣言による無条件降伏を受け入れることを玉音放送で国民に伝え、日本の敗戦が決定しました。

 幼少期に経験した戦争についての記憶はあまり多くはありませんが、空襲のたびにサイレンが鳴り、防空壕に逃げ込んだことは覚えています。当時はみんな生きるのに必死で、食べるものや着るものも十分にない中で助け合いながら生活していました。終戦後もその状況は続きましたが、爆弾が落ちてくる心配がないことだけでもありがたく、平和の尊さを身に染みて感じました。

 現在も世界のどこかでは紛争が絶えず、命の危険に脅かされて生活している人々が多くいます。ウクライナでは今年2月からのロシアの侵攻により、平和に暮らしていた人々が突然戦争に巻き込まれ、家族を守るために戦闘に加わる市民や国外へ避難する女性・子供も多くいます。先日はウチヤマグループが支援するNPO法人「テラ・ルネッサンス」の創設者、鬼丸昌也さんが本社を訪れ、最近支援を始めたというハンガリーでのウクライナ避難民の状況についてお話を聞くことができました。アフリカやアジアにおける既存の活動に加え、緊急で支援が必要な方に向けて迅速に動く彼らの熱い想いと行動力には、本当に頭が下がります。そして改めて、多くの命を必然的に犠牲にしてしまう戦争は、どんな理由があれ絶対に許してはいけないと強く感じました。

【恒久平和のために、私たちができること】

 日本では、戦争を直接体験した世代の方々の高齢化が進んでいます。戦争の記憶も風化が進み、最近では人の命の重みが軽視されているような残念な事件も多くなっているように感じます。戦後の焦土と化した日本を、寝食を忘れて立て直してくれたのは、現在の80歳を超える高齢者の方々です。戦争を知る高齢者の方々は、命があること、生きていることのありがたさを深く感じているので、物を大事にし、命を大切にして日々生活されています。私たちが手がける介護事業では、そうした高齢者の方々を多くお世話させていただいています。日々の介護を通じて、高齢者の方々の命に向き合う姿勢を感じながら、今の日本の平和な生活を築いてくださったことに感謝の気持ちを伝えていきましょう。

 ウチヤマグループを創業して51年が経過しましたが、私たちが今まで仕事に打ち込んでこられたのも、日本という国が平和で安心して生活できる環境があったおかげです。これからもこの平和を維持していくために、私たち一人ひとりができることは何か、仕事や私生活の上で日々意識しながら行動していくことが大切だと思います。