自然災害対応の備忘録シリーズ
2022年9月下旬に発生した台風15号は、東海から関東地方にかけて記録的な集中豪雨をもたらしました。さわやか俱楽部が静岡市で運営する介護付有料老人ホーム「さわやかあおい館」においても、9月23日の夜から24日にかけて、停電、断水、電波障害などの被害が発生し、入居者様の安全確保のために少しも油断できない状況となりましたが、石田施設長の指示の下で職員が協力し、24日の午後には通常の状態に戻すことができました。
時系列での出来事
9月23日
夕方まで:台風接近に備え、施設外部の物品の施設内搬入・飛散防止処置を行う。*1
19:00 :静岡市内全域で雨が降り始める。
23:00 :施設長の自宅周辺で道路の冠水を確認。トイレも逆流音があり、吹きこぼれ対策を行う。3年前にも同様の豪雨あり、非常事態と認識する。
9月24日
2:11 :あおい館職員から施設長へ、館内の停電・浸水はなしとの報告。
施設長からは、避難訓練・非常対策に準じた同様の対応を指示。在宅酸素利用者2名は酸素ボンベの確認をすること、非常用電源は2時間程度しかもたないことを伝える。
4:00 :雨脚が弱まり、施設長が夜勤の職員に連絡を取ろうとするが、電話が繋がらない。
6:00 :夜勤職員へ再度連絡するが、電話が繋がらない。
6:30 :出勤前の相談員より施設長へ電話が入る。自宅(葵区)は断水以外被害なし、すぐに動ける状況とのことで出勤を依頼。続けて看護リーダーより施設長に電話があり、自宅被害はないものの公共交通機関がストップしているとのことで、 相談員の通勤途中、迎えに寄ってもらう形で出勤を依頼する。
その後、エリアマネジャーに電話で状況報告。夜勤の職員とはまだ連絡が取れない。
7:00 :施設長が相談員に状況を確認する。停電による信号機停止により交通渋滞が発生。未だ施設に到着できていない。
この際、音声にノイズ・通話切れが複数回あり、電波障害も発生していることを認識。
7:30 :看護リーダーの個人携帯より施設長に連絡あり(会社携帯は音声にノイズが多く通話不可だったため)
ここでようやく施設の状況を確認し、エリアマネジャーに電話で報告。在宅酸素の携帯ボンベも空との報告あり。発電機の場所(外部防災倉庫内)を伝え、対応を依頼。
<施設内の状況>
・1Fは辛うじて水が出る。温水器を通しての水(主に居室内洗面台)は使用不可
・2Fは断水
・厨房は辛うじて水がでる。朝食は作成済、2Fに人力で上げる作業に入る
・早番1名は自宅が被災する中出勤、遅番1名は自宅の被災なし
・状況確認で既に出勤して来てくれている職員もいたため、最低人員は確保できた
8:30 :石田施設長到着。
・発電機を始動し、在宅酸素の電源を確保
・備蓄水の供出(飲み水としてフロア・厨房で使用)
・昼食は館内に備蓄している非常食を供出
・トイレの排水用に、常時貯めている大浴場の水をバケツで汲み上げて対応
・職員の被災状況、出勤有無の確認、勤務調整 *2
・情報収集~連絡~報告 *3
12:30 :電話が使えない状況の中、エリアマネジャーへの報告のため、施設長は駿河区まで車で移動。車中のTVにて停電の原因や被害状況を確認した。
14:30 :施設への通電確認。大きな支障なくスムーズに日常業務に移行。
17:00 :施設全般の被害状況を確認。建物や設備等には被害なし。夕食提供後、施設長からエリアマネジャーに報告し、通常業務に戻る。
<補足事項>
*1:水害時は近隣中学に避難する区域ではあるが、消防署の指導により施設での待機が可能で浸水時は2Fに移動すべきと指導されている旨を、避難訓練の際に毎回職員に伝えている。施設での非常対策(BCP)を日頃から確認しておくことにより、備蓄水・食材・災害用品の有無が把握できる。
*2:電波障害により通話は厳しかったがショートメールは使用可能だったため連絡ができた。
*3:ラジオでは早期の情報は入手出来ず、今回のような短期障害ではTVの方が有用かもしれない。電波障害の発生時はスマートフォンでのネット検索やLINE等の使用もできなかった。
施設長による総括
・避難訓練等で普段実施している以上のことは対応できないと再確認しました。
・情報収集と連絡報告に非常に苦労しました。ショートメールも使用できなかったと考えると、ほぼ職員の被災状況は確認取れない状況で、連絡網も機能しませんでした。
・非常災害対策の周知が足りず、電源確保や飲水の供出が遅れました。今後の防災訓練時に活かします。
・今回は同一区内でも、浸水・停電・断水の被害状況がバラバラだった為、動ける職員を確保できましたが、もう少し被害が広がっていれば人員確保も大きな問題になると感じました。
(施設長 石田 憲章)