90歳を過ぎても、もっと生活を楽しみたい

ライフマップで生きがい発見!! story39
さわやかなんよう館(愛知県名古屋市)

G様は今年91歳になられた女性です。大阪府で生まれて2歳まで過ごし、愛知県半田市へ移ってこられました。若い頃は洋裁学校へ通い、ご自分の洋服はもちろん学生服やスーツ・コートも作れるようになりました。今でも針仕事はお手の物です。

結婚後は夫と二人で生活されていました。2019年2月に夫が他界し、子どもがいなかったことからご自宅で一人暮らしになりました。名古屋市内に住む甥様(姉の息子)が気にかけてくださっていましたが、認知症の進行が見られるようになり、自宅が物であふれて足の踏み場がないほどになってしまいました。その様子を見かねた甥様が片付けるものの、すぐに同じ状態に戻ってしまいます。

元々掃除や整理整頓は苦手で、家事をするより習い事や勉強の方が好きだったとのこと。「人から見れば散らかっているように見えるだろうけど、私はどこに何があるかわかっているの。すぐ使えるようにしているだけなのよ」「主人は何でもすぐに捨てちゃう人。私は大事に取っておくタイプ」と笑っています。

2019年6月、買い物中に転倒して救急搬送され、脳挫傷による硬膜下血腫で手術を受け入院されています。リハビリ目的で転院し退院可能な状況になった頃、甥様より施設入居の相談がありました。退院時は車イスを使用されていたため、G様は自宅へ戻っても一人では生活できないと思われたようで入居を希望されていました。甥様による施設見学を経て、同年9月に入居されました。

入居当初から、施設で行われる活力朝礼や行事への参加率も良く、他の入居者様とのコミュニケーションも図れています。お世話好きな面があり、誰とでも気軽に話して仲良くなります。料理は作るより食べる方が良いらしく、食事に関するレクリエーションではいつも完食です。書道を嗜んでおられ、字を書くことはお好きな様子で、習字レクに積極的に参加されています。月に1回のフラワーアレンジメントにも欠かさず参加され、真剣に取り組む姿が見られます。

      

社交的な性格のG様は、自分だけではなく他の入居者様と一緒に楽しみたいという気持ちをお持ちで、フロアでは他の入居者様と協力して掲示する作品を作っています。

なんよう館での生活は一見充実しているように見えましたが、会話の中では「不満はないけれど楽しみが少ない」とよく言われます。そこで、ライフマップを使って詳しくお話を伺うと、趣味以外にも得意なこと、やってみたいことがあると知りました。

G様のライフマップ

日舞を5年・民舞(民謡で踊る)を30年ほど習っていて、その間に着付けができるようになり、盆踊りが好きになったと話してくださいました。「盆踊りが楽しかった!足腰が弱ってきたので、もっと体を動かしたい」というG様の声をお聞きして、施設の夏祭りで行う盆踊りに、踊り手として参加されること提案しました。“盆踊り部”の発足です!

夏祭り本番に向けて、皆様の前でお手本になる踊りを披露しようと、G様を含む3名の入居者様が練習に参加してくださいました。

はじめは「歳をとったから無理」「足が動かない」などと言われ遠慮されていたG様でしたが、練習の段階から熱心に取り組んでくださり、当日は「炭坑節」「パプリカ」「松の木小唄」を曲に合わせて見事に踊り切りました。

夏祭りの後には「浴衣を着て踊りたかった」「もっと練習をしたかった」と、ご本人としては心残りの面もあったようですが、今後の目標について尋ねると「また来年も踊りたいです」という前向きな言葉をいただきました。

今後もライフマップを通して、入居者様や家族様が笑顔で過ごしていただけるよう、職員全員で支援させていただきます。

(計画作成担当者  稲垣 美和子)