「今が最高に幸せ!」~好きな事見つけて、楽しまなくっちゃ~ 

ライフマップで生きがい発見!! story43
さわやか螢風館(福岡県北九州市)

今回ご紹介するのは、1931年(昭和6年)7月14日台湾生まれ、現在92歳のS様です。

S様は7年前の2017年(平成29年)10月30日、86歳の時にさわやか螢風館に入居されました。その頃の螢風館は、活力朝礼等の活動がとても盛んで、S様もいろいろな行事や日々のレク等に積極的に参加されていました。しかし、数年前からコロナ禍に突入すると、螢風館でも日常の風景が変わってしまい、これまで楽しまれていた活動が制限される日々が続きます。不安な状況を乗り越え、ようやく様々な活動が再開できるようになった今、ライフマップを使ってS様の今までとこれからのことをお伺いすることにしました。

S様のライフマップ

出産時は7か月の早産だったため、手のひらにのるくらいとても小さく、生まれたのは真夏でしたが、湯たんぽとミルクで育ったそうです。小学2年生の時に広東、4年生の時に香港に移動し、台湾女学校の入学の時は、母方の伯母様の家に住んだとのことです。終戦を迎えた時は、伯母様と一緒に宮城県に引き揚げて来ました。「父が宮崎から宮城まで迎えに来てくれましたので、やっと家族と一緒に住むことができるようになりました」。しかし、その当時の宮崎は大変な状況で、S様は学校を辞め、両親の仕事を手伝われたそうです。

その後、18歳で結婚し、結婚後10年間は宮崎で過ごされますが、ご主人が事業を失敗したことをきっかけに、知人を頼りに長野県軽井沢町に移り住みます。そこでは、ホテルの客室係等の仕事を14年間、その後、夫婦住み込みで保養所の管理人を17年間務めました。

「60歳で定年退職し、やっと自由な生活ができるようになりました。退職後は夫婦でマレットゴルフを楽しみました。マレットゴルフをしている時に、主人が転んじゃって。それで、動けなくなって…」

S様は周囲の人たちの協力を得ながらご主人を自宅で看取られました。「頭を冷やしてあげようと思って、氷枕の氷を入れ替えに行ったんです。私を待っていたんでしょうか。冷たくて気持ちが良いよって声を掛けたら、そのまま、眠る様に逝ってしまいました。お父さん、まだ早いよって何度も言いましたけど」ご主人との悲しい別れの瞬間を教えてくださいました。

その後、妹様ご家族の支援を受けて、軽井沢町から北九州市へ。

さわやか螢風館に入居されてからは、施設での生活をしばらく楽しまれていました。施設のホールに職員と入居者様が一堂に会して行う毎日の「活力朝礼」も、S様にとって大切な朝のルーティンでした。しかし、コロナ禍に入ると様々な活動を制限され、活力朝礼も感染リスクを防ぐために中止となってしまいます。昨年の5月に感染症分類が緩和され、ようやく活力朝礼が再開した際、S様はとても喜ばれていました。

螢風館では『朝礼カード』を入居者様お一人お一人に配布し、活力朝礼に参加するごとにポイントが加算される仕組みになっています。今風の言葉で表現すると、入居者様の『ポイ活です。

「カードに判を押してもらうのが楽しみ。1枚50ポイントのカードが、今は5枚目の半分くらいにまでなりました。ポイントが貯まるのが、本当に嬉しくて。朝礼でやっていることを、どれだけ頭が覚えているか試しているんですけど、まあ、ダメですね。昔のことはよく覚えているんですけど。私の人生は、ここ(螢風館)に来て、やっと落ち着きました。今が最高に幸せです。好きなこと見つけて、楽しまなくっちゃね。お父さん(ご主人)は喜んでいるだろうなと思います。」

様々な人生のイベントを乗り越え、今の生活が最高と言われるS様に今後の目標を伺うと「妹たちに迷惑をかけるから、あまり長生きしなくてもいいんですけど、伯母は110歳まで長生きをしましたので、私も100歳までは大丈夫よ、と妹たちから言われます」と、今の心境を語ってくださいました。

現在、私はS様と同じフロアで仕事をさせていただいています。「おはようございます」「朝礼行ってきます」「行ってらっしゃい」「ただいま」「お帰りなさい」等の入居者様との日常会話からも、その日の状態を感じとるようにしています。ご家族にかわり、一番身近な存在の私たちが、入居者様に安心と安全をお届けすることも大切な仕事だと思っています。

ライフマップは入居者様の人生を振り返りながら、これからの人生について語って頂くツールです。それと同時に、私自身のライフマップの一場面になります。この幸せな環境で仕事をさせていただいていることに、日々、感謝をしながら、これからも皆様のお役に立てるよう努力していきたいと思います。

(計画作成担当者 篠田 靖子)