ライフマップで生きがい発見!story18
さわやか螢風館(福岡県北九州市)
外山(とやま)様は昭和28年11月30日の生まれで、現在67歳です。まだまだ若い外山様ですが、進行性の難病の為、2017年5月にさわやか螢風館に入居されました。当時を振り返ると、在宅での生活は可能と思われましたが、諸事情により入居を決意されたようです。
外山様は北九州市小倉北区で、2人姉妹の長女として生まれています。市内の短期大学保育課卒業後、保育園や幼稚園に勤めながら、私生活では海外旅行(主にカナダや韓国)を楽しまれました。焼肉が大好きな外山様は、何度も韓国に行かれたとのことです。
26歳で結婚して男の子1人を授かり、子育てをしながら保育士の仕事を続けられました。息子様と一緒によく日帰り旅行に出掛けたり、家族で音楽を楽しまれたようです。また、息子様が生まれてから手芸や工作を始められ、今に至るまでずっと続けられています。
15年前の2006年、52歳の時に進行性の難病を発症されます。足が思うように動かなくなり、歩行器や電動車椅子等を使用するようになります。ご自宅で生活されている時は、少しでもスムーズに動けるように、デイケアのリハビリや訪問リハビリに熱心に取り組まれていました。
さわやか螢風館に入居されてから、3年と6ヶ月が過ぎました。2020年11月、介護保険の更新に合わせ、ケアプランの見直しとライフマップの聞き取りを行いました。
改めて入居当初の気持ちを尋ねると、「誰とお話しをしたらいいのかわからなかった。だからこそ、新しい入居者が来た時は、不安を取り除いてあげたい。いろいろ教えてあげたい。いろいろ誘ってあげたい」と言われます。とても温かい言葉です。外山様の居室がある3階の入居者様は皆さん、外山様のことを慕っています。保育士の経験が活かされているように思います。
最近は市内に住むお母様に絵手紙等を送られました。絵手紙を入れて送った袋もお手製です。いずれも世界に一つしかありません。「今は電話で声を聞くことしかできないけれど、母の喜ぶ顔を想像しながら作りました」とお母様への思いを語られていました。外山様にとっての製作活動は「リハビリでもあり暇つぶしかな…」と笑って話されますが、居室に飾られている一つ一つの作品はとても丁寧に作られています。
外山様は自分の病気のことを十分に理解され、全身の機能が徐々に低下していくことをとても心配されています。施設では作業療法士と話し合いながら個別のリハビリメニューに取り組んでいます。「自分の事は自分でしたい!」という意志を強く持たれていて、それが食べることや生きる意欲へとつながっています。新型コロナウィルス感染症が一日でも早く収まり、以前のように外食等を楽めるようになることを心から願っています。
外山様の目標年齢は100歳で、螢風館の5階に入居されている松尾様が目標との事です。松尾様は穏やかでお元気な方です。同じ施設の中に目標とされる方がいることは、とても嬉しいことです。階は違っても入居者様同士のつながりを大切にしていきます。
外山様は自分のことを「私は円の中の点で色々な人に支えられて、縁で囲まれて」と表現されます。螢風館ではそれぞれの専門職員が知識や経験をもとに外山様をサポートしています。チームケアの醍醐味です。外山様の100歳の目標が達成できるよう、今後も全力で支援していきたいと思います。
(篠田 靖子)
※写真・文章は、入居者様ご本人の許可を得て掲載しています。