秋田市の介護付有料老人ホーム「さわやかさくらのもり」では、オープンから毎月「さわやかマガジン・さくらのもりトレンディー」というカラー12ページの手作り冊子を発行しています。内容は、施設長とスタッフの挨拶の他、その月のイベントやレクを写真で紹介するもので、プライバシーの観点からお名前や詳細な文面の掲載を控えています。配布はご家族様と館内のみに限り、ブログ掲載禁止の方を含むすべてのご家族様が入居者様の様子や笑顔を見ることができるので、好評を得ています。しかしその反面、見る側としては写真からその方々の思いを想像することになり、なぜ笑顔なのか、どんな思いをしているのかが伝わりにくいのではと思い始めました。
そこで、写真はなくても文字で入居者様の思いや考えを伝え、逆に「風景」を想像させる物があっても面白いと考えました。うってつけだったのが、毎月行っている川柳レクです。もともと人気のあるレクで、ユーモアあふれる内容や、その時々に感じたことを日々書き留めた川柳の発表は皆様楽しみにされております。川柳レクの最中は、ひと月溜めたメモを見ながら「あの時は面白かった」「昔はこうだった」「今月はこれが美味しかった」など、川柳を考えて生み出す悩みの顔と、楽しかったことを思い出す嬉しい顔が混ざり合った、なんとも不思議な時間が流れます。他の入居者様やレクの担当者に相談したり、フル回転で頭の体操をしているのも伝わってきます。作り終わった後に作品を見せ合い、皆様が談笑しながら笑顔で過ごしている時間は、とても素敵に感じられます。
それらの作品を集めて冊子にしたのが令和2年度の作品集「さくら唄」の第一弾でした。毎月の請求書に同封するマガジンと一緒に、ご家族様へ送らせていただくと、とても反響がありました。そして館内に配られた「さくら唄」をご覧になった入居者様達は、自分の作品が手元に残ることを大変喜ばれていました。
そして今回、令和3年度の作品集「さくら唄・其の弐」の発刊を経てさらに川柳熱が深まったと感じています。今回は管理者とレク担当者のあいさつ文、そしてレクの風景の写真も掲載させていただきました。前回は8ページだったのが、今回は16ページと2倍のボリュームになり、とても読みごたえがあります。自分たちの作品が多く載っているので、入居者様も楽しそうにご覧になっています。
皆様の作品が手元や記憶に残ること、そして、その作品に込められた思いや背景が皆様に伝わることをこれからも大切にして、マガジン同様に制作を続けていきたいと思います。
ここで一句。「さくら唄 流行り病の渦の中 読み合う唄に 希望あり」
(さわやかさくらのもり 副主任・黒川 和人)
入居者様の数々の作品をもとに、本社の社員による審査を行い、人気の高かった作品を表彰することになりました。
【 最優秀賞 】
昨日まで 引いた孫の手 今かりる /寺門 儀一 様
【 優秀賞 】
さくらより あなたが奇麗と 世辞を言う /佐藤 カネ 様
さくらもり 年配、先輩 みな元気 /日沼 キセ 様
老いし身も 心はなやぐ ひなまつり /板垣 佳代子 様
コロナ鬱 やけぐいスイーツ 胃の薬 /伊藤 秀太郎 様
白髪は 人生勝利の 一里塚 /S 様